百河豚美術館の設立者・青柳政二は戦後富山県を出て、単身大阪で
苦労の末、関西を代表する河豚料理店を作り上げました。そんな彼が
事業の傍らで心の安らぎを求めて情熱を注いだのが、美術工芸品の
蒐集と研究でした。中でも江戸初期に活躍した陶芸家・野々村仁清の
作品との出会いは青柳のコレクターとしての運命を決定づける事に
なりました。造形の美しさ、斬新で鮮やかな色遣い、誰もが考え付か
ない意匠の素晴らしさ、これらを兼ね備えた仁清の作品を一目見た
瞬間、圧倒され、魅了されたのです。
故郷の人々に素晴らしい美術品を見てもらいたいという青柳の
願いから開館した美術館も本年で40年を迎えます。今回の展覧会
では、彼の心を魅了した野々村仁清や同時期に活躍した浮世絵の
創始者といわれる岩佐又兵衛の作品など絵画・工芸・彫刻など
様々な分野の名品を展示します。